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備忘録

【歌舞伎】新橋演舞場「スーパー歌舞伎II ワンピース」 感想

2015.10.29観劇

噂のワンピース歌舞伎。

ネタバレに入る前に、歌舞伎初心者の方にこれだけは言っておきたいのですが、3月の大阪松竹座と4月の福岡博多座の公演に行ける場所にいる方!
少しでも気になるのなら、絶対に絶対に見てください。
チケットが売り切れてしまっても、歌舞伎では後援会(ファンクラブみたいなもの)が押さえていたチケットの余りが、公演日の数日前に戻ってくる場合が多々あります。
お安いお席は戻らない可能性が高いですが、正直この舞台は1等席で見た方が絶対に面白いです。1等席じゃないと100%楽しめない演出もあるので。
なので、どうぞ大阪・福岡方面の皆様(もちろん関東以北で遠征できる方も!)、是非是非チケットを取ってみてください。
「チケットWEB松竹」
というサイトで取れますので!!

そんなわけで、前回のスーパー歌舞伎II 「空ヲ刻ム者」や、その他諸々の舞台で猿之助クオリティには全幅の信頼を寄せていたため、初めて歌舞伎を見るというワンピース好きの上司たちを引き連れて行って参りました。
公演時間が休憩含め5時間の長丁場ということに早くもテンションが下がっていた上司たちですが、一点の不安も無く「絶対に満足してもらえますから!いいから楽しんで見てください!!」と、自分も一度も見てないのに本気で言えました(笑)
結果から言えば、もちろん上司たちは大満足。
「面白かった、来てよかった!」と言ってもらえて我が事のように誇らしかったです。

私はワンピースは主要キャラと冒頭(1巻とか)のエピソードくらいしか分からなかったのですが、ワンピース好きの会社の上司たちと見に行ったので、「あのキャラは再現率が凄い高い!」「あのキャラは~~がモデルなんだよ」といったことも教えてもらえて二重に楽しかったです。
が、ワンピースが分からなくても最高に楽しめたし、逆に言えば歌舞伎を全く分からない上司たちが心底楽しんで帰ってくれたので、本当にみんなに見て欲しいです。
人を選ばず誰もが楽しめる、そんな舞台だと思います。


***以下ネタバレ含みます***

座っていたのが1階席7列目の中央だったのですが、本当に最高でした!!
宙乗り等あるので2階・3階でも充分楽しめるとは思いますが、前述の通りこの舞台の醍醐味はやはり1階席ではないかと。
理由はこのあと書きます。


■ 第一幕 シャボンディ諸島篇
まずもって、冒頭でキャラたちが花道から登場した時の鳥肌がすごいです。
まず隼人さんを見て、「かっこいい…」と思わずつぶやいてしまうほどの美しさ。
原作サンジファンも一切文句の無い仕上がりではないかと思います。

そして巳之助さんのゾロもめちゃくちゃかっこよかったです。
台詞回しが完全にアニメのゾロ。
こちらも原作ファンのお眼鏡に適うはず。

そして既に色々なレビューでも言われていますが、ワンピ分からない勢からすると冒頭の説明的セリフのありがたさ!(笑)
ここで世界観を頭に入れていただけるので、その後も安心です。
ただ、キャラひとりひとりの名乗り口上の際に歌舞伎の癖でついつい拍手をしてしまうのですが、前のキャラへの拍手が止まぬまますぐに次の人が喋り始めてしまうので名前が聞こえなかったりして、ワンピ分からない勢からすると「あのキャラは何て名前なんだろう、聞こえなかった…」という気持ちのまま進んでしまったのが残念ですね…
なのでこうならないように、筋書きやネットなどで頂上戦争編に登場するキャラのビジュアルと名前くらいは頭に入れていった方がいいなと思いました。

そして登場・自己紹介・説明的セリフの後に、船上に並んで極まります。
これがまたかっこいいんだ…是非劇場で見てください(丸投げ)

第一幕の見所としてはやはりルフィ・ハンコックの早変わり。
しかし同行した上司のひとりがルフィとハンコックを猿之助さんが一人二役でやっていると気付いておらず、早変わりのシーンを「何だこの間延びしたシーンは」と思っていて凄さが分からなかったらしいので、その辺の事前予習だけはしてくださいね!!(笑)


■第二幕 インペルダウン篇
こちらもまた隼人さん・巳之助さんの見せ場。
隼人さん演じるイナズマと、巳之助さん演じるボン・クレーの本水立ち回りが圧巻です。
一口に本水と言っても水の量がハンパじゃない!
舞台に割とガチの滝が出現します。
滝の中で極まるところではお二人が本当に「ぷはっ!ぷはっ!」と溺れ?かけながらの見得(笑)
それでも本当にかっこいい。
特に隼人さん!「水も滴るいい男」とは正にこのこと、という感じです。
隼人ファンの方は当然もう見に行かれているでしょうが、ジャニーズ系イケメン好きの女性陣は絶対に隼人さんのサンジとイナズマを見ておくべき…!

そして何と言ってもオカマ!オカマ!オカマ!!!!!
女形ではなく、オカマです。
一幕のハンコックの部下たち(アマゾンリリー)と配役がかなり被っているのですが、アマゾンリリーは女形(女性の役)として演じているのに対し、こちらはハッキリとオカマ(本当は男)の役として演じ分けられているのが面白かったです。
…などと高尚っぽいことを言ってみましたが、オカマキャラ大好きなのでもうヨダレだらだらでした。

そして浅野和之さんのイワンコフと巳之助さんのボン・クレー。
このキャラは原作漫画やアニメのイラストを少し見たことがあったのですが、再現率がハンパない!
マジで二次元から出てきたのかと思いました。
コミカルでかわいくて本当に大好きです。
私が見に行った日は浅野さんが長セリフを噛みまくってしまっていたのですが、それをもアドリブで笑いに変えていった様子は正にベテランの技巧を感じました…楽しかったです(笑)

そして盛大なネタバレですが、二幕のラストでは話題のゆず・北川悠仁さん作曲のテーマソングが流れる中、ルフィがサーフボードに乗って宙乗りをしつつ、巨大な鯨の風船?が頭上を泳ぎ(映画「バケモノの子」を連想しました)、オカマちゃんやイワンコフたちが1階席を練り歩いてくれます!!!
盛りだくさんすぎて本当にどこを見たらいいか分かりませんでしたw
初心者を連れて行くということで全体的に見やすい中央を取ってしまいましたが、この演出を知ってたら通路際取ったのに…!と激しく後悔しました…。
オカマちゃんたちと手を振り合ったりハイタッチしたり出来るので、このシーンのために通路際を取るというのは大いに有りだと思います。

そして、以前Twitterで役者さんが「二幕ラストでは是非立ち上がって手拍子を!」とつぶやいておられたのですが、本当に皆さんスタンディングで手拍子をしており、ああ、歌舞伎ってこんな形もあるんだ!と心底感動しました。
私ももちろん参加しました!最高に楽しかったです。
二幕終わりの幕間では、興奮しすぎてドキドキしてしばらく手が震えてましたw
本当にここで四代目の凄さを身に沁みて実感した次第です……。
流石の一言でした。スーパー歌舞伎II、これからも是非見て行きたいです。

■第三幕 マリンフォード決戦篇
そんなこんなでルフィが捕らわれのエースを助けに向かいます(そんなこんなで)。
二幕の興奮が冷め遣らぬ中での三幕なので大丈夫かな?と思ったのですが、大丈夫です!全然大丈夫です!!!

まずもってエースのかっこよさ!
演じておられる福士誠治さんは前回のスーパー歌舞伎IIや亀治郎の会から猿之助さんの歌舞伎にご出演なさってますが、どちらも猿之助さんの可愛らしい弟分のお役だったので、ワンピース歌舞伎の配役を見たときは「エース!?想像できない…」と思っていたのですが、最高にかっこいいエース兄貴がそこにいました…。
立ち回りが多い幕になりますが、黄猿とエースの炎対決や白ひげの立ち回りなどでふんだんにプロジェクションマッピングが使われており、歌舞伎の立ち回りと現代技術が融合した全く新しい舞台を見ることができます!

そして私の心に最高に響いたのが、青雉クザン!
めちゃめちゃいい声してると思って役者さんを調べてみたら、市瀬秀和さん、リボーンの獄寺の声優さん…!?
歌舞伎のお化粧が本当に似合っておられて、絶対歌舞伎役者さんだと思っていました。
また歌舞伎で拝見したいです!!

またクザンの最大の見せ場、吹雪舞い散るワイヤーアクションが本当にド迫力!
舞台から飛び出し客席の上をグルグル回りながら、物凄い量の白い紙吹雪がぶわーーーっと!
なんかこの量の紙吹雪、「空ヲ刻ム者」で既視感あるな…w
この大量の紙吹雪の演出もスーパー歌舞伎の特色なのかもしれません(笑)

そしてラストはエースの死で心を閉ざしていたルフィが再起し、再び船の上に海賊団が集結し、「海賊王に、俺はなる!」の名台詞で見得を切り、幕。


■総括
いやはや、終わってみると良い意味で「やっと終わった……」という感じ。
あまりに面白すぎて、めちゃくちゃ疲れました。
とにもかくにも、3月松竹座・4月博多座とまだまだ見られるチャンスは残っているので、ご観劇がまだの方、ぜひぜひ劇場へ足をお運びください!